採血時のQ&A

採血時よく受ける質問について口頭でもお答えしていますが、何点かまとめてお伝えしたいと思います。

Q1:食事の影響は?

A1:検査値の影響を受ける代表的なものが血糖中性脂肪です。
血糖⇒食後上昇し、通常約2時間でほぼ空腹時と同じ状態になります。
当クリニックでは、食後の経過時間を参考に数値を見ており、他HbA1cの値も評価しているので食事の制限はしておりません。HbA1cは、過去1〜2ヶ月の血糖値の平均値なので当日の食事の影響は全くありません。インスリン注射や糖尿病薬で治療している方が空腹状態にすると低血糖を起こす可能性もあるので、事前に医師からの指示が無ければ食事は可能です。  
藍色の風第5号参照

中性脂肪⇒食後6時間ぐらいまで上昇します。食事内容によっても上昇の程度は大きく左右され、高脂肪食の2〜4時間後は2〜3倍に上昇し回復に14時間以上かかります。飲酒でも高くなり、高脂肪食と同時に摂取すると12時間以上経っても増加がみられます。
総コレステロール・HDL(善玉)コレステロール・LDL(悪玉)コレステロール値の計測では、採血前の食事の影響は殆どないと言われていますが、フリードワルドの式(藍色の風 第40号「これから使うnon HDL-C」参照)でLDLコレステロール値を計算するときには中性脂肪の値を使うため、結果が正確でなくなります。脂質代謝の状態をみるために空腹時採血を指示する事があります。(藍色の風第19号参照

Q2:試験管(採血管)何本も採るの?

A2: 検査内容で採った血液が、身体の中を流れている状態に保つことが必要な場合があります。さらに、検査目的の必要に応じて血液の成分を使い分けるため、各試験管に薬剤が入っていて何本かの採血になります。

Q3:採血しても血はできる?

A3:血液の量は体重の約1/12〜1/13です。体重50kgの人は約4000mlの血液が体中を流れています。血液の成分の赤血球寿命は120日で、毎日1/120が新しいものに入れ替わっています。体重50kgの人で1日約30mlの血液が造られます。当クリニックでは約2〜10mlの採血量なので大丈夫です。

Q4:血液が黒いけど大丈夫?

A4:血液の色と関係するのはヘモグロビンと呼ばれるもので、肺で酸素と結合して赤い動脈血に、各臓器や細胞に酸素を届けた後黒っぽい静脈血になります。通常採血しているのは、静脈血なので黒っぽく見えます。血液の色だけでは、健康状態はわかりません。
(藍色の風第8号参照)

Q5:採血の後が青くなった。

A5:採血後血液が完全に止まっていない状態だと、血液がもれて内出血をして青くなります。内出血をした場合は、少しずつ細胞に吸収されて色が無くなります。採血後は、もまずにしっかり押さえて下さい。ワーファリン服用などで止まり難い方は、5分位は押さえて下さい。血が止まったら絆創膏を貼りますが、主に洋服などを汚さない意味なので適宜はがして下さい。長く貼るとかぶれる事もありますのでご注意下さい。また、かぶれやすい方は申し出て下さい。
Q6:採血日のお風呂は入っていい?
A6:採血での入浴は差し支えありません。ただし体調の悪い方は医師の指示に従って下さい。

他にも検査時にお気づきのことや疑問点があれば遠慮なくお声掛け下さい。

【臨床検査技師:田中・森】

参考文献: 根拠がわかる臨床検査(南江堂)・臨床検査知識の整理 臨床化学(医歯薬出版)