逆流性食道炎って?

「毎晩、夜中に胸が苦しくなって耐えられない日々が続いていた。耐えかねて受診し、苦しさを訴えた。」その患者さんは終業が遅く、夜遅く帰宅してから食事をする習慣があり、深夜の食後、すぐに寝るという生活が続いていました。院長の診断結果は心臓には何も問題はなく、胃液が逆流する逆流性食道炎というものでした。食事内容や食事の仕方を調整するとよくなると言われ、ほっと胸をなで下ろされました。

食事相談室で勉強され、深夜の食事を避け、早めに夕食を済ませるなどの改善策で症状は消失しました。その結果減量にも成功したというおまけまでついて、喜ばれています。他にも「いつも胸焼けしているような感じがある」「のどや胸の違和感がいつもある」という声もよく聞きます。逆流性食道炎とは胃液が食道へ流れ込み(逆流)、食道の粘膜に炎症を生じた状態をいいます。

日本では比較的少ない病気と考えられていましたが、近年の高齢化や食生活の欧米化などによってその数が増えています。ライフスタイル、習慣、嗜好等によってもなりやすく、また加齢とともに発病しやすくなるといわれています。

どんな過程でおこるのでしょうか?

胃壁は粘液を分泌し、酸性度の非常に高い胃酸によって、胃壁がダメージを受けないようになっています。しかし食道にはその機能がないため、胃酸が食道に逆流すると食道の粘膜が強酸によって炎症を引き起こします。そして、胸焼けを起こしたり、ゲップが出たり、違和感が生じたりします。

食道と胃の境目である噴門部の活約筋は、通常は閉じた状態ですが、加齢により括約筋の筋力が弱ってきて締りが悪くなります。また食べすぎると胃酸が多くなり、逆流しやすくなります。食べてすぐ横になったりすることも逆流を誘発しやすくなります。

まとめると逆流性食道炎になりやすい人の特徴には次のような点があります。

1、油っぽいものをよく食べる。2、アルコールを過度に飲む。3、食べてすぐに横になる。4、太っている。5、腹部を圧迫するほどの便秘がちである。6、腰が曲がっている。7、ストレスがたまっている。
1から5番までは明らかに生活習慣病の弊害と考えられます。夜遅い夕食、アルコールでストレス解消を図っている勤労者など、近年の生活習慣の変化が逆流性食道炎の発症を加速させています。

改善方法は

生活面の改善策としては 胃や腹部を圧迫するような姿勢を避け、猫背、背骨のねじれなどを改善し、体を締め付ける服装を避けることなどが挙げられます。治療は医師による薬物療法も効果的で、症状の軽減はできます。また体のひずみがある場合は、ひずみを整えるなど専門家の治療を受ける必要があります。

食事では次のような点に注意して下さい。胃の中に食べ物が長く滞在すると胃酸が多くなります。また、胃酸の分泌を促進するような食べ物を避けること。また食べる量を少なくなるように心がけることです。具体的に言えば、油っぽいものは避ける。甘いものは避ける。刺激の強いものは避ける。食べた後は横にならない。早食い、食べすぎはやめる。急がず、ゆっくりとよく噛んで食べる。いつも腹8分目を心がけることです。胃を刺激する食品には、アルコール飲料・炭酸飲料・カフェイン飲料、熱すぎ・冷たすぎ・酸っぱすぎるもの、香辛料、味の濃いもの等があります。

おすすめの食べ物は…

素材のやわらかいもの 卵、豆腐、乳製品、肉類は脂質の少ないひき肉など、食物繊維の少ない野菜、調理によって柔らかくしたもの全般

避けたい食品

脂質の多い肉類、消化の悪い貝類、食物繊維の多い野菜、柑橘系の果物など。

4月には逆流性食道炎を防ぐための集団食事教室(料理教室、試食会)を開きます。詳しく勉強をされたい方は是非ご参加ください。

【管理栄養士:藤原】