どうすれば便秘を解消できる?

最近、便秘で悩まれている方が非常に多いと感じています。便秘の解消法を求めて食事相談室に来られる方も増えています。ヨーグルトにバナナを食べると調子が良いなどと、いろいろな工夫をされている方もいますが、私は玄米ご飯を食べて便秘とは無縁の生活ができています。また、安易に薬に依存されている方もよく見かけます。長期にわたって便秘薬を使用していると排便機能を低下させ、自分の力で便をだすことができににくくなることもあります。『藍色の風 第20号』「その習慣が便秘になる」に、便秘対策のいろいろなアドバイスが掲載されています。便秘でお悩みの方は再度手にとってお読みください。今回は食事面から便秘対策を考えてみます。

食事に由来する便秘の原因として、次の3点が挙げられます。

(1)不規則な食生活:夜遅くまで飲食をしている方が見られます。そのような生活習慣で朝食を抜くと、私達の排便システムは正常に機能しません。便秘薬に依存することも同じで、自律神経の働きが鈍り便意が起こりにくくなります。

(2)食事の内容が悪い:たんぱく質主体の食事は食物繊維が少なく、粘性の強い便、比重の高い便が多くなり、腸の中の通過時間が長く、便が停滞しやすくなります。野菜、キノコ類、海草類など摂取することで食物繊維が多くなり糞便量が増加します。こうすれば便は適度の固さになり、大腸通過時間が短縮され便秘を予防できます。

(3)食事の量が不足している:1日3回の食事で、平均約1.2kgから1.5kgの食品を摂取しています。しかし朝食を抜いたり、野菜が不足したり、また少量でカロリーの高い食品を選択して摂取していると食事の量が平均より少なくなり、便の材料が不足して便秘したり、やせたりします。多すぎると肥満傾向に進みます。ただし、これらすべてが実施できても、必ずしも上手に排便できない場合があります。そこで、私が体験している排便のこつをお教えしましょう。
1、夕食から朝食まで8〜10時間位何も食べません。
2、朝起きて水、または牛乳等を1カップ位飲みます。(汁ものでも可)
3、しばらく静かにすることです(ここがポイントです)。胃の動きが感じられます。次に反射的に腸の蠕動運動が始まり、便が移動しているのを感じます。便が直腸に到達すると便意を催します。胃腸の動きに耳を澄ませてください。このとき忙しく体を動かすと胃・腸の反射は止まってしまいます。ここが勘どころです。必ずこのタイミングをとらえて排便してください。この反射を胃・大腸反射と言います。この反応を体験すると容易に排便できるようになります。お教えして体験された方も効果が上がっています。便秘解消方法はこの限りではありません。朝食を摂ることでこの反応が起こるはずです。

便秘解消のためには、3食とも主食をしっかり摂り、主菜、副菜に食物繊維の多い野菜を十分摂取し、バランス良く食べることです。こういった、ごく普通の食事内容の朝食を摂れば、胃・大腸反射が起こります。正常な生体反応を是非取り戻し、順調な排便を維持したいものです。

最後に便秘が降圧剤など、他の薬の副作用、また消化管の病気等が原因で起こっていることもあります。いろいろと工夫をしても便秘の解消ができない方は主治医にご相談ください。

補足:食物繊維の目安量を示します。
食物繊維の目標摂取量は1日20から25gです。全国平均摂取量は15.2±7.8gであり、充分満たされていない現状があります。目標摂取量を増やすために野菜の摂取量を300gから400gに増やしましょう。

 【管理栄養士:藤原】

※1回摂取量(g)あたりの食物繊維含有量(g)を示しています。

  食物繊維   食物繊維   食物繊維
ご飯(180) 0.5 カボチャ(80) 3.4 干大根(15) 3.1
玄米(180) 2.5 ごぼう(40) 2.4 枝豆(40) 1.8
食パン(60) 1.4 ほうれん草(60) 2.2 なす(70) 1.5
うどん(140) 1.7 筍(50) 1.7 こんにゃく(50) 1.1
中華麺(140) 2.9 さつまいも(50) 1.7 リンゴ(100) 1.5
そば(140) 3.4 しめじ(30) 1.1 キウイフルーツ(80) 2
納豆(50) 3.4 ひじき(5) 2.2 八朔(100) 1.5