血圧を高くしない毎日を!

血圧は一日のうちでも変化します。昼夜のリズムとして自然な変動はあるのですが、血圧手帳を拝見していますと、急な血圧の上昇をお見かけすることがあります。今回は血圧を高くしない毎日の過ごし方についてお話します。

生活にゆとりあるリズムを

焦りやイライラ・不安・緊張は血圧を上昇させます。時間や気持ちの余裕を持ち、ゆったりと過ごしましょう。

睡眠は十分に

ひと言で『十分な睡眠』といっても個人差があります。時間の長短を気にするより「よく眠れた」という感じやさわやかに目覚められる睡眠をとることが大切です。十分な睡眠には心身の疲労をとり精神的なストレスを解消する力もあります。部屋を薄暗くする・静かな音楽をかける・好みの香りをかぐ・気軽な読み物を読む・・・など眠りやすい環境作りにも工夫してみて下さい。

血圧にやさしいトイレタイムを

和式トイレでのしゃがむ姿勢は腹圧がかかり血圧を上昇させる一因になります。 胸への圧迫が少なく、血液の流れが障害されにくい洋式トイレの使用をお勧めします。また、寒い季節には暖かい部屋との温度差によって血圧が変動するのでトイレにも寒さ対策が必要です。
  排便時に「いきむ」と肺胞内の血液が一気に心臓に送り込まれて急激に血圧が上昇し、そのままいきみ続けると胸腔内圧が上昇するので心臓に帰ってくる血液が少なくなり、血圧が下がってきます。このように排便時の「いきみ」は血圧を変動させ、特に強くいきんだり、いきむ時間が長かったりするとそれだけ血圧を変動させます。食事内容を調整し、必要なら便秘薬を使用してスムーズに排便できるように工夫しましょう。

アルコールは適量を

飲酒中あるいは飲酒直後はアルコールにより血管が拡張するために血圧は低下し、時間がたってアルコールの血中濃度が低くなってくると血管が収縮して血圧が上昇してきます。日本高血圧学会の治療ガイドラインでは、アルコール摂取量の制限として男性は1日にエタノール換算で20〜30ml(日本酒では約1合、ビールでは約500ml)、女性では10〜20ml以下(日本酒では約0.5合、ビールでは約350ml)をすすめています。肝臓のためにも休肝日を設けましょう。

タバコはやめましょう

タバコに含まれるニコチンが副腎や交感神経系に作用して末梢血管の収縮と血圧上昇、心拍数の増加をきたします。血圧など循環器系への影響は大きく、動脈硬化性合併症の予防のためにもタバコはやめましょう。やめにくい方は禁煙外来でご相談下さい。

測定前にカフェインはとらないで

コーヒー・紅茶・緑茶・スタミナドリンクに含まれているカフェインも一時的に血圧を上昇させます。血圧を測定する前(1時間以内)には飲まないようにしましょう。また、砂糖やミルクを入れて飲む方は多く飲むとそれだけ砂糖やミルクの摂取量が多くなるのでご注意を。

お風呂のお湯はぬるめの適温で

お風呂のお湯が熱すぎると血管が収縮して血圧が上昇します。お湯の適温は季節によって違いがありますが、体温よりやや高い程度の37〜41℃くらいです。寒い季節には湯上りの体で急に冷たい空気のところに出ないよう脱衣室も暖めておきましょう。また、サウナは血圧が変動するのであまりおすすめできません。

薄塩でおいしく

塩分の取りすぎは血圧を上昇させます。日本人の食塩摂取量は1日に11〜12gだといわれていますが、ガイドラインでは1日6gを推奨しています。また、肥満も高血圧の一因となり、減量するだけで血圧が下がるともいわれています。食事の適量について、また、薄塩でおいしく食べるコツについてなど詳しくは管理栄養士にご相談下さい。

適度な運動を

適切な運動を行うことも高血圧治療の大切な治療法の一つです。適切な運動とは有酸素運動で普通に呼吸をしながら筋肉を伸び縮みさせる運動のことで、ウォーキング(早足)やサイクリング、ジョギング、水中ウォーキングが当てはまります。週に3回30分、運動の強さとしては少し息がはずむけれど楽に仲間と会話ができる程度のきつさ(ニコニコペース)が適当です。 すぐに効果があらわれるのではなく2ヶ月半続けると降圧効果が出てきます。

運動を習慣にすることは大事ですが、風邪気味の時や睡眠不足などで体調が悪い時には無理をせずに中止すること、頑張りすぎないこと、また、運動中に症状が出てきた時には中止して主治医に相談しましょう。
(引用文献:自分で治す・自分で防ぐ高血圧)

★その他の日常生活についてわかりにくいことがあればいつでもご相談ください。

【看護師:速水・竹内・立石・長尾・阿部 】