レントゲン検査と被曝

「坂東ハートクリニックのレントゲン室」 

病院で「レントゲンを撮りましょう」とか「エックス線検査をしましょう」と言われた時に、放射線による被曝やその影響を心配される方がいらっしゃいますので、放射線による障害や被曝について説明します。各施設による撮影条件も異なりますが、だいたい同じ程度になります。放射線診療における不安や誤解が少しでも軽減されればと思います。

一般に放射線といった場合『X(エックス)線・アルファ線・ベータ線・ガンマ線』などを指しています。これらは意外と知られていませんが自然界にも存在します。当クリニックの装置はX線の放射線です。
受けた放射線がどれ位かを表すのにシーベルト(Sv)という単位を使います。また、放射線が人体に障害を発症するのに必要とする線量を『しきい値』といいます。
一般的なX線検査での1回あたりの被曝量(局所被曝=照射部位のみ)は以下の通りです。

  • ◎胸部レントゲン…およそ0.05mSv(ミリシーベルト)
  • ◎腹部レントゲン…およそ0.9mSv
  • ◎全身CT…およそ4.0mSv
  • ◎消化管造影…およそ8.0〜16.0mSv

よく耳にされる白血病をはじめとする癌になる可能性が出現するのは、人体が一度に全身に200mSv(しきい値)を超える放射線を受けた場合です。胸部レントゲンは約0.05mSvですから4000回以上検査しない限り200mSvを超えることはありません。しかも検査においては、全身ではなく身体の一部に限られているのでまず大丈夫です。小児の場合は放射線感受性が成人の4〜5倍といわれていますが、1000回以上検査しない限り同様に癌等の心配はありません。以上より、レントゲン検査で被曝する量はまず心配しなくても良い量だということがわかります。

次に、その他の障害が出現する『しきい値』を参考にあげます。これは、広島・長崎の被爆者の研究からおおよその値がわかっています。

  • ◎血液中のリンパ球の減少…500mSv
  • ◎吐き気…1000mSv
  • ◎脱毛(局部)…3000mSv
  • ◎皮膚の紅班(局部)…5000mSv
  • ◎死亡…7000mSv
  • ※チェルノブイリ原子炉事故は推算6000〜16000mSv

また、不妊に関しては『しきい値』が求められています。

  • ◎男性の場合…永久的不妊が3500〜6000mSv(一時的不妊…150mSv)
  • ◎女性の場合…永久的不妊が2500〜6000mSv(一時的不妊…650〜1500mSv)

最後に、胎児への影響です。これは胎児そのものへの被曝線量が問題になります。妊娠と気づかずにX線検査を受けた場合の胎児への被曝量は次の通りです。

  • ◎胸部レントゲン…無視できるほど低い
  • ◎腹部レントゲン…およそ2.6mSv
  • ◎消化管造影…およそ16〜80mSv

胎児に影響が出る『しきい値』は、100〜120mSvとされています。通常のX線(特に胸部・腹部レントゲン)では心配ない量となっています。しかし、妊娠の可能性がある方には原則的に控えて頂いておりますので、可能性のある方はお申し出て下さい。
レントゲン検査は、身体の様々な情報を得る大切かつ必要な検査です。安心して検査を受けて頂ければと思います。
(2002年1月20日徳島新聞・他インターネット記事より引用)

【臨床検査技師:田中・宮原】