カビ・シーズン到来!!

気温・湿度共に高くなる梅雨。私たちにとっては、不快な気候ですが、カビにとっては絶好のシーズンです。カビは細菌やウィルスと同じく微生物の仲間で、キノコや酵母と同じ真菌類に分類され10万種以上存在します。多くは土壌中や植物に寄生しており、私たちの生活に関わっているカビは数百種と言われています。大多数は人に無害、もしくは有益な働き(清酒・味噌の発酵食品、ペニシリンなどの医薬品)をするものですが、中には人体を狙い、病気を引き起こすものもあります。カビによる害は、下記のように大別されます。

【皮膚を侵すもの】
菌の種類:白癬菌  疾患:水虫  発生しやすい場所:皮膚

【内臓を侵すもの】
菌の種類:アスペルギルス(白・黒・黄・緑色) 疾患:気管支肺アスペルギルス症
発生しやすい場所:食品・カーペット・衣料品・エアコンのダクト

菌の種類:クリプトコッカス 疾患:肺炎・髄膜炎 発生しやすい場所:ハトの糞

菌の種類:アフラトキシン 作用:発がん性物質を分泌
      発生しやすい場所:アーモンド・ヘーゼルナッツ・ピスタチオ

【アレルギーを起こすもの】
菌の種類:アルテルナリア(すす状・湿度の高い所で綿状)
疾患:気管支喘息・アレルギー性鼻炎
発生しやすい場所:水回り・押入れ・高湿な壁面やカーペット・畳・皮革

菌の種類:トリコスポロン 疾患:夏型過敏性肺炎
発生しやすい場所:エアコンの内部・浴室・トイレ・屋根裏

上記の中でも特に身近に起こり見過ごされやすいのが『夏型過敏性肺炎』です。
エアコン内などで発育増殖した菌の胞子を何度も吸いこむことによって、胞子に対するアレルギー反応が起き、肺に炎症が生じる病気で、6月頃から10月頃の夏期をピークに発症します。夏場の風邪症状、夏になると同じ風邪症状を繰り返す、家の中での症状の悪化と家を離れた時の改善などが特徴ですが、環境の改善をせずこの状態を繰り返すと、肺が線維化し分厚くなって慢性型の肺線維症になる場合もあります。

このようなカビによる健康被害を防ぐには、カビを発生させないことです。

予防(1):カビの生育条件を作らない
〔カビの生育条件〕
栄養:糖類を好むが、金属・食品・布・ガラス・コンクリート・畳・接着剤などの化学物質などなんでも分解吸収して栄養源にする。
温度:5〜35℃の範囲で発育するが、20〜30℃が最も増殖しやすい。
湿度:60%を超えると発生しやすくなり、80%を超えると急速に増殖。
酸素:少しの酸素で生育可能。

予防(2):エアコン・加湿器・洗濯槽の掃除をまめに行う。エアコンは特に念入りに!

予防(3):浴室・洗面所・台所などの水回りの掃除をまめに行う。
防カビ対策は、健康・住居の両面から大切です。上手な防カビでジメジメした時期を快適に過ごし、体力を落とさないよう元気に乗り切りましょう。

参考・引用文献:「シンプル微生物学」南江堂 「内科学U」朝倉書店  

【臨床検査技師:田中・宮原】