薬の名前はご存知ですか?

「あなたが飲まれている薬は?」と尋ねられた時、どう答えられますか?

「白いんと小さいやつが朝で、赤いんが夜」「血圧が2つとコレステロールが1つ」等々、薬の色や形、大まかな種類で覚えておられませんか? 薬を飲み間違えないよう、自分で分かりやすく覚えておくことはいいのですが、正確に伝えようとした時にはそれでは不十分です。白い薬や丸い薬はたくさんありますし、錠剤の大きさもまちまちです。赤い薬は薬そのものが赤いのか、それとも薬を包んでいるシートの色が赤いのか・・・。また、薬の種類別で覚えたとしても、同じ病気に対しても作用基序の違う薬がたくさんあり、薬の種類や色・形といった特徴だけで薬を特定することは困難です。

そこで、今回は皆さんに『薬はそれぞれ名前で覚える』ことをお勧めしたいと思っています。その理由のひとつに「治療はおまかせではなく参加型で」ということがあります。今、自分が飲んでいる薬はどのような目的で医師が選択したのか、副作用にはどのようなものがあるのか等、薬の正しい知識を身につけた上でご自身の体の観察を行い、変化があった時には医師に伝えて欲しいのです。  

二つ目には「自分の身を守る」があります。例えば医師から薬の種類や服用量の変更指示があった場合、薬を把握できている時は正確に対応できますが、そうでない場合、特に薬が多い方は分かりにくいかもしれません。また、当クリニックでは急変時に院長に連絡がとれるよう連絡先をお知らせしていますが、その時にご自分が飲んでいる薬の名前が分からなければ的確な指示を聞くことが困難になります。また、他院を受診する際にも、服用している薬の名前は大事な情報となります。的確な治療を受けるためには正確な情報を伝えることが必要となります。

でも、「薬の名前なんてなかなか覚えられない!」そうおっしゃる方も多いかと思います。医師が処方した薬を皆さんが手にする時、調剤薬局では薬剤師の方が薬の説明をし、薬と一緒に説明書をつけてくれています。説明書には薬の名前や飲み方、効能などが記され、分かりやすいよう薬の写真がついている場合もあります。また、調剤薬局でお渡ししているお薬手帳や当クリニックで診察後にお渡ししているカルテのコピーには、その日に処方された薬の名前や用法が記されています。服用している薬が多くて名前を覚え切れない場合は是非活用して下さい。また、高齢の方で自分の薬を覚えることが難しい場合はご家族の方の協力をお願いできたらと思います。

あと、少しお願いがあります。
(1)急な用事や天候の都合で受診予定日に来院できない場合に備えて、3〜4日分ほど
薬を余分にもっておかれることをお勧めします。また、薬がたくさん残っている場合には日数を調節して処方することも可能ですので、問診時にお知らせ下さい。

(2)ご自身の判断で薬の増量や減量・中止することは避け、必ず医師に相談して下さい。また、診療時間以外の時間帯に院長の携帯電話へ連絡する際には、診察時にお渡ししているカルテのコピーを手元に置いてお話し下さるようお願いします。

(3)季節の変わり目など血圧が変動する時期には、診察時にあらかじめ血圧低下や上昇時の対応方法を確認しておくことも上手な方法です。急変時に慌てずに対応でき、不安も少ないかと思います。

(4)他院を受診して薬をもらった場合は、薬の名前が分かるよう、薬もしくはお薬手帳をご持参下さい。また、他院を受診される際には当クリニックで処方している薬の内容をお伝え下さい。そのときにカルテのコピーやお薬手帳をご利用していただくとよいと思います。

誰でも納得のいく医療を受けたいものです。私たちも同じ気持ちで医療を提供しています。治療に必要なお薬が適切にお使いいただけるよう、分かりにくいことがあれば遠慮なくおっしゃって下さい。

【看護師:速水・立石・竹内・長尾・阿部】