第23回 日本臨床内科医学会(埼玉県)

10月中旬に埼玉県大宮市で日本臨床内科医学会が開かれました。元心臓血管外科医の私が内科医学会に出席するというのは何か面はゆい感じもありましたが、「看護師・管理栄養士と共に行う高血圧診療」という演題で発表してきました。

当クリニックで行っている高血圧診療をまとめ、降圧剤を中止し来院も不要となった人達の経過について述べました。藍色の風第25号で概要をお知らせしましたが、開院以来のカルテを再度見直してみると降圧剤を中止して来院不要となった方は男性14名、女性32名の合計46名でした。通院中止まで持ち込めた方の年齢や治療による血圧、BMIの変化、食事相談回数などを表にして下に記します。(通院中止時の男性収縮期血圧が少し高いですが、これは病院にくれば血圧が高くなる人が含まれているからです。家庭血圧はきれいに低下しています。)予想に反してBMIには統計的に有意な減少はありませんでした。体重の減少は降圧のために有利には働きますが、このことが降圧の必須条件ではないことを示しています。塩分摂取量や運動の程度、精神の安定性なども降圧に影響したものと思います。こういった点に関しては今後の検討が必要です。

さて、全ての人がこのようにうまくいくわけではありません。遺伝的な要因で、生活調整の面でいくら頑張っても、血圧が下がらない人がいるのも事実です。しかし食事と運動の調整を行ってみることは、すべての生活習慣病の方にとって最初に行うべき治療手段です。「一に運動、二に食事、しっかり禁煙、最後に薬」という標語をみつけました。まさにこの通りと思います。

さて、大宮駅周辺では非常にたくさんの人達が行き来していました。学会の会場で埼玉県の人口は709万人と知らされました。徳島県の9倍もあります。埼玉の社会基盤がきれいに整備されているはずです。しかし人口や財政的な面で勝負するのではなく、別の次元で特色を出せば、徳島ももっと住みよい街になると考えながら帰途につきました。

【坂東】

【降圧剤を中止し、通院も中止できた高血圧症の人々】
(平成15年9月9日〜平成21年9月8日)

  性別 男(14名) 女(32名)
年齢(年) 56.8±5.5 59.4±8.2
食事相談回数(回数) 2.3±1.6 3.3±2.7
通院中止までの期間(年) 1.5±0.9 1.5±1.1

 

【降圧剤を中止し、通院も中止できた男性高血圧症の治療前後比較】

  治療開始前 通院中止時
収縮期血圧 161.0 ±14.0 134.0 ±14.6 <0.01
拡張期血圧 96.1±13.3 80.4 ±9.8 <0.01
BMI 24.9±2.4 23.7 ±1.7 N.S.

【降圧剤を中止し、通院も中止できた女性高血圧症の治療前後比較】

  治療開始前 通院中止時 P
収縮期血圧 162.5±18.2 127.8±9.6 <0.01
拡張期血圧 95.1±11.8 76.0±9.1 <0.01
BMI 24.2±3.5 23.2±3.0 N.S.