肺の生活習慣病?タバコ病!COPD?

COPDとは?

COPD(シーオーピーディ)とは、「慢性閉塞性肺疾患」のことで、従来は慢性気管支炎・肺気腫と呼ばれてきた病気です。

COPDは、タバコなどの有害な空気を吸い込むことによって、空気の通り道である気道(気管支)や酸素の交換を行う肺(肺胞)などに障害が生じるものです。空気の出し入れがうまくいかなくなることによって、通常の呼吸ができにくくなり、息切れが起こります。一度障害を受けた肺は元には戻りません。長期間にわたる喫煙習慣が主な原因であることから、COPD=肺の生活習慣病またはタバコ病とも言われています。
⇒COPDの主な原因はタバコ

タバコの煙には、約4000種の化学物質が含まれています。この中には有害な物も数多く、とくに人体に悪影響を及ぼすのは、ニコチン・タール・一酸化炭素などです。これらが気管支や肺を傷つけるのです。タバコを吸わなくても、副流煙による「受動喫煙」によってCOPDは発症します。喫煙者と同等かそれ以上の有害物質を吸い込んでいるからです。分煙されていない家・職場ではCOPDにかかる危険性は高まります。
また、喫煙以外の原因として大気汚染や職業的な粉塵や化学物質などがあります。

COPDの症状

COPDは進行性の病気なので症状も段階によって異なります。代表的なのは、"息切れ"です。体を動かした時、特に階段や坂道を登る時に気付きます。風邪でもないのにしつこく続く咳や痰などの症状が現れます。次第に進行していき放置していると慢性呼吸不全などの深刻な症状も出て日常生活に支障をきたすようになります。特に喫煙者・喫煙歴のある方は要注意です。
⇒肺機能を調べよう

肺機能検査は、スパイロメーターという機械を用いて行います。
この検査は、努力性肺活量=最大限まで息を吸って思い切り吐き出した息の量と、一秒量=最初の一秒間で吐き出せる息の量を測定し、これら2つ数値の比=一秒率を出します。この一秒率が、70%未満の場合にはCOPDが疑われます。検査時間は数分で苦痛は伴いません。

予防・治療は、

喫煙者はまず禁煙です!
COPDになると呼吸機能は元の健康な状態には戻らないので、症状を進行させず、適切な治療で症状を軽減させましょう。

禁煙:基本です。
薬物療法:症状をやわらげ、運動能力を高めます。
呼吸リハビリテーション:
理学療法(息すぼめ呼吸などで息苦しさをやわらげます)
運動療法(呼吸に関係する筋肉を鍛えます)
栄養管理(適切な体重管理を指導します)
ワクチン接種:インフルエンザや肺炎からの重症化予防
在宅酸素療法:COPDが重症化し低酸素状態になった時行います。

治療に当たっては、必ず主治医に相談し指導を受けて下さい。
大切な呼吸をいつまでも・・・健康な生活を送るためにも、喫煙している方は是非禁煙を!当クリニックでも看護師が禁煙をお手伝いいたします。ご相談下さい。

参考文献:COPD完璧マニュアル(監修:北海道大学大学院呼吸器内科学教授 西村正治)

図:日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社、ファイザー株式会社提供「COPD完璧マニュアル」より引用

【臨床検査技師:田中・宮原】