タバコをやめたいのにやめられない・・・

これは意志だけの問題ではなく、「二コチン依存」の影響があります。「タバコを吸うと落ち着く」とよくいわれますが、なぜタバコがそういった満足感をもたらすのでしょうか? それは、脳内に入ったニコチンがニコチン受容体と結合して、快感を感じさせる物質(ドパミン)を放出することにより満足感や達成感・喜びを得られるようになるからです。度重なる喫煙によりニコチンが過剰のドパミンを放出させ、「ニコチン依存」をつくっていきます。

今までの禁煙治療は、ニコチンガムやニコチンパッチ(貼り薬)を使用して、タバコの代わりに体内にニコチンを補充して吸いたさを和らげるものでした。今年5月に飲む禁煙治療薬が日本でも発売され、禁煙治療の選択肢が広がりました。今回はこの新しい治療薬「チャンピックス錠」を紹介します。

■商品名:チャンピックス錠 

■効果・効能:ニコチン依存症の喫煙者に対する禁煙の補助

■作用:ニコチンの代わりに脳にあるニコチン受容体という部分に結合して、ドパミンを少量放出させるため、禁煙時にあらわれるイライラなどのニコチン切れ症状を軽くします。また、禁煙時にタバコを吸うと、ニコチンが受容体に結合するのを邪魔して、タバコのおいしさを感じにくくする作用があります。

■使用方法:禁煙の開始予定日を決め、その1週間前から服用開始します。1〜3日目は0.5mg錠を1日1回、4〜7日目は0.5mgを1日2回朝・夕食後に服用します。8日目から禁煙を開始し、1mgを朝・夕食後に服用し12週まで続けます。

■副作用:主な副作用は,嘔気(28.5%)、不眠症(16.3%)、異常な夢(13.0%)、頭痛(11.6%)、および便秘でした。治療の有無にかかわらず、禁煙中は気分がおちこんだり,イライラ感や不安な感じが出たりすることがあります。もともとそういった症状がある場合は服用により症状が強くなることもあります。また、現在は症状がなくても再び症状が出てくる可能性もあります。いつもと違う体の感じを感じた時はすぐに主治医と相談して下さい。

■費用:3割負担の方で、3ヶ月間の診療費と薬代の合計は18000円少々です。新薬のため、処方可能な日数は14日間となり2週間毎の受診が必要です。

■よくある質問
Q1.保険はとおりますか?
A.はい、大丈夫です。以前に禁煙治療を受け、再び禁煙にチャレンジしたい場合、前回の禁煙治療の初診日から1年を過ぎていれば保険が使用できます。
Q2.ニコチンパッチやニコチンガムは併用できる?
A.併用できません。併用によって副作用発現率の上昇が認められています。   
Q3.チャンピックスはいつまで服用するの?
A.治療が終了するまでの期間、長く服用する方が、禁煙成功率が高いというデータがあります。
Q4.禁煙治療が終了したが、もう少し服用したいんだけど・・・。
A.長期間の禁煙を確実にするために12週の禁煙治療後、さらに12週間の延長が可能です。しかしその場合は自費になります。
Q5.チャンピックスは誰でも服用できるの?
A.チャンピックスは腎臓から排泄されるため、腎機能が低下している方は医師とよく相談して下さい。妊娠中の方や子どもの服用は安全性が確立されていないようです。

◆◆自分にあった方法で・・・
禁煙を決めた時「自力で頑張ってみる」「ガムやパッチを使う」「飲み薬でやってみる」など、どの方法で始めるかは自由です。自分にあった方法でチャレンジしてみましょう。

今までに禁煙に失敗した経験があっても失敗は次へのステップです。失敗を恐れずに再びチャレンジして下さい。禁煙の失敗は『禁煙をあきらめた時』ですから・・・。この機会に是非禁煙を!! 私たち看護師もお手伝いいたします。

参考文献:すぐ禁煙(ファイザー株式会社)

【 看護師:速水・立石・竹内・長尾・阿部】