♪♪聴診器で聞く心臓の音♪♪

診察の際、必ず聴診を受けますが何が聞こえているのでしょうか?
聴診器を胸に当てた時は心音(心臓の音)・呼吸音(肺の音)を、首では頚動脈の血管雑音の有無を、腹部では腸の動き具合や血管の雑音の有無を聴いています。
今回はその中の心音についてお話したいと思います。

皆様が診察後に受け取るカルテの中に『心音』についての記述があるのはご存知ですか?
「大動脈・僧帽弁ともに有意な雑音はない」や「収縮期雑音」や「拡張期雑音」・・といった言葉を見ると思います。心臓に雑音・・と聞けば驚くし心配されますよね!!

心音は生きてる証として皆様全員に聞こえます。その中で、通常聞く心音以外の音が聞こえる場合に雑音があるとします。

まず通常きこえる心音とは…
心臓は血液を全身に送り出すポンプ機能をしているので、送り出す時の収縮期と血液を心臓内に貯めこむ拡張期の2つの周期があります。この2つの周期が1回の心臓の拍動で、聴診器を介して「ドドッ」と聞こえます。心音を表わすときに「ド」をT音、「ドッ」をU音といいます。(俗に鼓動をドックンと表現しますが「ドッ」=T音、「クン」=U音です。) 

♪♪聴診器で聞く心臓の音♪♪

では、雑音とは…
これらの心音の間に聞こえる音で、聴診器を介してT音⇔U音の間に「シュー」とか「ザー」といった音で聞こえます。心拍の周期のうちどの期で聞こえるかによって分類されます。雑音が発生するのが、収縮期か拡張期(カルテ記載の収縮期雑音・拡張期雑音です。)か、各期の前半か後半か、また心拍全体にわたってかなど、心雑音の原因を考える手がかりにもなります。また、心雑音を聴いた際は音量、聞こえる(放散する)場所もチェックします。音量は6段階の分類があり、1から小さい順になっておりカルテでは1/6、1~2/6、2/6、などと書かれています。場所は2RSB(第2肋間胸骨右縁)、4LSB(第4肋間胸骨左縁)とか心尖部・・です。これも状態を知る目安になります。

雑音の音源となるのは、主に心臓内で、血液を一方通行させる為にある弁の閉まりが悪くておこる逆流や、硬く狭くなった弁を無理に通過しようとした時の血流や、壁に穴が開いていてそこを通過する異常血流などです。また、心臓を包む心膜という薄い膜に何らかの原因で炎症がおき起こる雑音もあり、これは心臓の外で発生する音です。

しかし、心雑音の指摘があったからと言って必ずしも異常、病的とは限りません。心臓の器質的異常を伴う場合と伴わない場合があるからです。機能性雑音(無害性雑音)といって、よくあるのは小児期から思春期の人、運動、発熱したときで、貧血、甲状腺機能亢進などでもみられます。これは心臓活動が活発なためで、心臓の異常ではありません。成長したり、原因疾患の治療や状態の改善で消失します。

以上より心雑音も様々です。問診、諸検査(心電図・レントゲン・心エコー・血液検査など)などから心臓病の有無、心臓外要因の有無を調べ診断しますので、「心雑音」と聞いただけでいたずらに心配する必要はありません。

皆様のカルテに書いてある『心音』はどうでしょうか?

【臨床検査技師:田中・宮原】