いろいろなご質問

私達看護師は、看護室で患者さんのお話を伺ったり、診察のお手伝いをしたりしています。今回の藍色の風では、今までに、患者さんからいただいたご質問について、何点かお伝えしようと思います。

Q1:血圧の薬は、一度飲み始めると一生飲み続けなければならないのですか?

A1:食事や運動等の生活習慣の調整で、十分適正なレベルに下がってきたら、医師の判断で、薬を減量したり、休薬したりして経過を見る事ができます。減塩を中心とした食事調整や体重の減少で血圧が下がり、薬を止めてクリニックを卒業された方や、夏場だけ休薬したり、薬の量を減量できる方もいらっしゃいます。(藍色の風:創刊号・3・8・25号に掲載されています。)家庭血圧の測定値は、治療を行う上で重要な参考値となりますので、血圧が安定している方や、一時休薬指示の出た方も血圧の測定は続けて下さい。なお、何剤か服用されている方が薬の減量をする際は、どの薬から減量・休薬するかの順番がありますので必ず医師にご相談下さい。一度に全部止めたりするのは、反跳現象(薬を飲む前より血圧が高くなる。)が起こり危険です。9月に入り、秋風が心地よい季節になりましたが、これからの季節は、血圧が上昇しやすくなります。もし、急な上昇があった場合は、いつでもクリニックにご相談下さい。

Q2:家庭血圧は、座って測るのと、寝て測るのとでは、どう違いますか?

A2:日本高血圧治療ガイドラインでは、座位にて、1〜2分の安静後に測定する方法が推奨されています。血圧の正常値や目標とする数値、またどのくらいの血圧であれば脳卒中や心臓病になるかなどの調査では、座位で測定した値を集計して決められました。それらの値と比較するため座って測定しましょう。一般に、最高血圧は臥位(寝た姿勢)で最も高く、座位、立位の順で低くなります。

Q3:グレープフルーツジュースで薬を飲んではいけないと聞いたのですが、どんな薬を飲んでいる時にだめなのですか?

A3:降圧剤の一種の、カルシウム拮抗薬(アダラート・コニール・カルブロック・ランデル等)をグレープフルーツで服用すると、薬物の効果が強く現れすぎる事があります。これは、グレープフルーツに含まれる、「フラノクマリン」という物質が、薬を分解する小腸の酵素の働きを阻害するためと言われています。薬は原則的には、お水やぬるま湯での服薬が適しているようです。

Q4:カルテの血圧の数値の下に書いてある「SPО2」とは何ですか?

A4:「経皮的動脈血酸素飽和度」の事で「エスピーオーツー」と読みます。
血液中にどの程度、酸素が含まれているかを示しています。
「パルスオキシメーター(写真右)」という器械のブローブを指に挟んで測定します。
一般的には96〜100%を正常、91〜95%をやや正常、90%以下は呼吸機能低下と言われています。心不全や肺疾患では、この数値が低下します。ただし、指先の血液循環状態が悪かったり、浮腫や低血圧、器械のはさみ具合、マニキュアでも数値の変動があります。

Q5:夫が、トイレで小用を済ませた後、突然倒れてしまいました。しばらくしたら意識はでてきましたが、どうしたのでしょうか?

A5:排尿が終わった直後に、突然生じる一過性の意識の消失を、「排尿性失神」と呼びます。意識消失は短時間で、完全に回復します。男性に多くみられ、多量のアルコールを飲んだ時や、飲酒量は普通でも、立位で排尿したときに起こる事が多いようです。膀胱に尿がたまると末梢血管が収縮して血圧が上昇しますが、尿を排出すると急に血圧が下がるため、失神が起こると考えられています。このような排尿性失神を経験した年配の方には、座位での排尿をお勧めしています。

Q6:突然、目の周りが回りだし、死ぬかと思いました。こんな時、どうしたら良いのでしょうか?

A6:突然の症状でびっくりされると思いますが、まずは、安全な場所で安静にして下さい。調理中の場合は、火を消し、運転中なら車を路肩に止めて下さい。眩暈の原因として1番多いのは、耳に関係した病気ですが、その他にも高血圧や動脈硬化によるもの、病気ではないものの症状として出るものもあります。めまいに、嘔気・嘔吐、頭痛・意識消失・片側の手足の麻痺・しびれ等の随伴症状を伴う場合は、重篤な疾患の可能性もあります。そばに協力してくれる方がいる場合は、血圧を測ったり、めまいの種類(周囲がグルグル回って見える回転性めまい・体がグラグラするような動揺性めまい・体がフワフワと浮いているような感じの浮動性めまい・立ち上がった瞬間に、クラクラッとしたり、目の前が暗くなる感じの立ちくらみ)や、めまいの持続時間、随伴症状(めまいに伴う症状)の有無を確認しておくと診断の助けになります。どの科を受診したら良いかわかりにくい場合はクリニックにご相談下さい。院長の携帯電話には毎週1〜2人程度、この症状で相談があるようです。

★★★余談ですが・・・キリンの血圧はいくらくらいと思われますか?


あんなに長い首を通って、頭に血液を送るのは、かなりの血圧が必要なはず!!
心臓に近い位置での血圧は、なんと260/160mmHgくらいだそうですが、首の所では、150/100mmHgくらいだそうです。これは、脳と頚動脈の血管を結ぶ中心に、ワンダーネットという細かい血管が網状になった器官があり、急激な血圧の変化を吸収してくれるそうです。それで、お水を飲んだりする時に頭を下げてもうまく調節できるのですね。

参考文献:バイタルサイン・モニタ入門(秀潤社)。バイタルサインの把握と看護(中央法規出版) 知識の宝庫!目がてん!ライブラリー。 Hey .wait a minute! HPより

【看護師:長尾・竹内・速水・立石・阿部】