正しく爪を切りましょう ♪♪

普段、あまり意識していない爪ですが、爪は私たちの手足の指先を保護する役割をしてくれ、そのおかげで指先に力を加えたり、細かい物をつまんだり、うまく歩いたりすることができています。また、爪の下部には毛細血管が集中しているので健康状態を反映しており、昔から診断の補助としても爪の観察がなされてきました。「健康のバロメーター」ともいわれる爪ですが、深爪やあわない靴などが原因で、巻き爪や陥入爪となることがあります。今回は正しい爪切り方法など、爪についてのお話をしようと思います。

爪のしくみ

爪は表皮の角質が変化して硬くなったもので、「硬ケラチン」と呼ばれるタンパク質からできています。爪が伸びるスピードは、健康な成人は1日に0.1mm、乳幼児や高齢者では0.07〜0.08mmで、若い人ほど成長が速く、季節では冬より夏の方が速く伸びます。手の爪が生えかわるには約6カ月、足の爪では10〜18カ月かかります。

爪の構造

  • 爪甲(そうこう):爪全体のことをいいます。
  • 爪母(そうぼ):新しい爪が作られるところで爪の成長に大事な部分。甘皮の下にあり表面からは見えない。
  • 爪半月(そうはんげつ):爪の根元に見られる白い半月状の部分。
  • 爪上皮(そうじょうひ):甘皮と呼ばれている部分。爪母、爪半月を保護し、水分の蒸発を防ぐ働きをします。
  • 爪郭(そうかく):爪甲を囲んでいる皮膚の部分で、爪甲の栄養補給と保持に役立っています。

爪の病気

1.爪白癬
いわゆる爪の水虫。爪のトラブルで一番多くみられます。爪白癬の正体は白癬菌と呼ばれるカビの一種で、爪白癬になると爪が白く濁って肥厚し、もろくなります。内服薬と外用薬で完治します。
2.爪囲炎
   爪の周囲の小さな傷から細菌が感染して起こる、いわゆる「ひょうそ」と呼ばれる病気です。赤く腫れて痛みが出たり、膿が出たりします。水仕事が多い職業の方や女性に多くみられます。
3 .巻き爪・陥入爪
        爪の左右両端が巻きこんだ状態を「巻き爪」といいます。爪の左右が皮膚に食い込み、腫れや痛み、膿が出るなどの炎症が起こった状態を「陥入爪」と呼び、特に足の親指によくみられます。

《 原因 》
(1)深爪:爪を切りすぎるとまわりの肉が盛り上がり、巻き爪になりやすくなります。
(2)あわない靴や靴下:女性が履くパンプスやハイヒールは靴の先端が細く、ヒールが高くなるほど重心が足先にかかり、つま先が圧迫されるようになります。また、サポート力の強い靴下やストッキングも同様で、常につま先が圧迫される状況になります。逆に、ぶかぶかの靴も足の空間が広がり、つま先が前後に動いて先端が圧迫されるため、爪に負担がかかります。
(3)体重・スポーツ:体重が多くなると、体を支える足にかかる力も強くなります。また、テニスやサッカーなど、踏ん張るスポーツも爪にかかる力が強くなります。

《 予防・治療 》
 深爪がある場合は爪を伸ばし、巻き爪が起こらないよう予防します。すでに痛みや腫れなど、炎症がある場合は、手術やワイヤーでの矯正など、状態に応じた治療が必要なことが多く、診察時にご相談下さい。靴を選ぶ時にはデザイン性ばかりでなく、爪にやさしい靴を。紐靴の場合は、結びっぱなしにせず、履くたびに足に合わせて紐を結ぶことをお勧めします。
巻き爪を予防する、爪の正しい切り方は、下を参考にして下さい。

爪の正しい切り方

足の爪は、「スクエア(四角)・オフ」と呼ばれる、爪を四角い形にする切り方をお勧めします。手の爪は足の爪のように圧迫されることが少ないため、爪の形に合わせて丸く切っても大丈夫ですが、指に力を入れる(例えば、指で物をつかむ・指で物を押す)仕事をよくする方は、足の爪と同じように、手の爪の爪切りはスクエア・オフをお勧めします。
爪の長さは指の先端と同じぐらいの長さで、横にまっすぐ切ります。その時に爪の白い部分が1mm程度残るように切ります。爪の左右は角を落とす程度に少しだけカットします。深く斜めに切りすぎないよう、爪切りではなく爪やすりを使用するのもよい方法です。 
スクエア・オフは巻き爪や陥入爪の予防にもなり、爪の形としても美しい形であるといわれています。爪を観察し、爪が短い人はまずは伸ばしてから、スクエア・オフでの爪切りを実践して下さい。

参考文献:爪のケア・手足のケア技術(看護の科学社)

【看護師:速水・立石・竹内・長尾・阿部】