尿の色がおかしい??

採尿時に「尿の色が濃いけど、大丈夫?」と聞かれることがあります。しかし、尿の色は様々な要因により変化するため個人差が大きく、色だけで一概に異常とはいえません。
尿の色を変化させる代表的なものとして以下の要因があります。しかし、これらの要因による尿の色調変化は病的なものではありません

●水分摂取量や運動
水分を多く摂取し尿量が増えれば色がうすくなります。水分摂取量が少ない場合や運動などでたくさん汗をかいた場合は尿量が減るため、色が濃くなります。また、朝、起床後の尿は、睡眠中に体の水分が奪われているため、濃縮され濃い色をしています。このように、一日のうちでも尿の色調には変化があります。

●薬の服用
服用しているお薬により色が変化する場合があります。これは、薬そのものの色であったり、体内で分解・代謝され、尿中に出てきた薬の分解産物であったりします。(比較的よく見られるのものとして、ビタミンBを含む薬では、尿が黄色い蛍光ペンのような色になることがあります)。

●食べ物
食品に含まれる着色料により尿の色が変化する場合があります。通常、尿の色は、淡い黄色や黄褐色をしており透明です。尿の色は「ウロクロム」という色素によるもので、ウロクロムは一日の生成量がほぼ一定のため、尿量が多いと色はうすく、少なければ濃くなります。

尿の色調で注意を要するのは、赤ワインやコーラのような色、あるいはにごっている場合です。赤みがかった尿は血液が混じっている可能性があり、結石や腎炎などが疑われます。尿路感染があると、尿に白血球や細菌が混じって尿がにごることがあります。また、塩類による混濁もあります。(塩類はからだの酸・アルカリのバランスをとる際に不要となり出てきたものです)『尿の色が気になる、おかしいな・・・?』と思ったら、医師にご相談ください。

尿の量が多い?少ない?

成人の場合、一日の平均的な尿量は約1500mlです。(水分摂取量や運動などで多少の変動があります)

・尿量が少ない原因

●腎臓の機能が低下すると、尿の生成が減少するため、尿量が減ります。
●むくみ、発汗などにより、血液中の水分量が減少すると、尿量が減ります。
●心不全などで心臓の機能が低下すると、腎臓への血流が低下し、尿の生成は減少するため尿量が減ります。

・尿量が多い原因

●過剰の水分摂取、糖尿病、尿崩症などがあります。

●豆知識

尿検査で異常があった時や学校の尿検査で『“早朝尿”を持ってきてください』と言われた経験があると思いますが、なぜ“早朝尿”で検査をするのでしょう??尿検査に最も適しているのは、朝起きた直後の尿、いわゆる“早朝尿”です。これは、尿がもっとも濃縮されていて、尿中の化学成分や固形成分が多く含まれているからです。しかし、病院の外来では早朝尿での検査は難しいため、来院してからの尿で検査を行うことになます。尿中の成分は少なくなりますが、病気の可能性を探るには十分です。

【臨床検査技師:宮原・田中】