vol.6  徳島新聞 経済サロン担当者への手紙

とくしま経済サロン 担当者(緑)様
冠省
 平成17年4月23日付とくしま経済サロン「徳島の医療」に関して手紙をおくります。医師として25年間仕事をしてきましたが、今回の記事を看過することはできません。

 どのような統計資料をみて記事を書いたのかわかりませんが、数字からの想像で徳島県の医師や看護師が「少し質の劣る」と結論付けるのは早計でしょう。数字の意味を考えて実状を調査し、その裏に隠れている事情を見極めて記事にすべきです。
平均寿命に影響する因子は何でしょうか?
長野県男性、沖縄県女性の長寿日本一は、何によってもたらされたのでしょうか?
医療従事者数が多ければ平均寿命は長くなりますか?

  人口1000人あたりの医師数はイタリア4.3人、フランス3.3人、アメリカ2.7人、日本1.9人ですが、日本の平均寿命はこれらの国より長いのです。病床数あたりの看護師数を日米で比較すると、米国では日本の5倍になります。しかし米国国民の平均寿命は日本より短いのです。平均寿命ではなく健康寿命の検討はしなくてよいのですか? 看護師の数は全国6位としていますが、それは働いている看護師ですか? それとも看護師の資格はあるが現在働いていない人も含めていますか?

 「乳児死亡率は20位で全国平均より3%ほど低い」と書いていますが「3%低い」のであれば優秀です。死亡率が全国平均より悪いのであれば「3%ほど高い」と記載すべきです。
徳島県に新生児の専門医が何人いるか取材しましたか?重症の新生児用ベッドが何床ありますか? 徳島県にこれらの数が少ないのであれば、なぜそうなっているか、検証すべきです。

 上記以外にも指摘するべきことはたくさんありますが、残りはあなたが考えて取材し、検討して下さい。私も徳島県の医師や看護師が日本で最高であると思っている訳ではありません。すばらしい仕事をしている人や病院もあれば、批判されるべき人や病院もあります。そういったものをひっくるめて、小馬鹿にしたような批判するのは適切ではないでしょう。あなたが徳島の医療を良くしようと思うのであれば、医療の問題点を掘り起こし、新聞記者の視点からそれを調査、検証し、紙上で県民に問うことです。現場に改善を迫る大きな力になるはずです。建設的な意見や提案には、それが医師や看護師の耳に痛いものであっても、我々は襟を正して聞きます。 

 「糖尿病は汗して治せ」ということわざがあります。糖尿病の薬を飲むより、歩いて汗をかき、インスリン抵抗性を改善させることが大事であるということを、患者さんに知らせています。「新聞記事は足で書け」と教わりませんでしたか?あなたの文章からはパソコンを前にし、数字のみを見ながらキーボードを叩く姿が彷彿とされます。検査ばかりして、目の前の患者さんを診察しない類の医師と同じスタンスです。
 あなたがやぶ医者にかかりたくないのと同じで、私もへボ記者の文章を読みたくありません。綿密な取材と論拠をもとにした再度の記事を求めます。

匆々

4月23日                                 坂東正章

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