飲酒の適量とはどのくらい?飲み過ぎるとどうなるの?

年末、年始にかけてアルコールを飲む機会が日頃より多くなっています。そろそろ休肝日を考えなければ肝臓は疲れていませんか?アルコールには「百薬の長」といわれるように、よい面もあると医学的に証明されていますが、適量を過ぎれば問題点も多いことはご存知のことでしょう。適量の飲酒とはどのくらいをいうのか、考えてみましょう。

アルコールは体内に入ると、下のように代謝されていきます。主成分であるエタノールは小腸で大部分が吸収され肝臓に送られて処理されます。

日本人ではこのアルデヒド脱水素酵素が十分にある人とない人が、半々だそうです。体重60Kgの人でこの酵素が十分にあると、1時間に代謝処理できるアルコール量は6g程度です。日本酒1合のアルコール量は約28g含まれますので、処理するには4〜5時間かかることになります。翌朝にアルコールが残るような飲み方をする人や酒が抜けない状態になる人と、アルコールを飲まない人とを比べて、脳血管障害や事故死をはじめとするリスクが高いと指摘されています。

アルコールと健康について、わが国の男性を対象に行われた研究で次のような結果がでています。毎日の飲酒でなく2日に1回のペースでアルコール20g摂取した方が、死亡率は低くなるというのです。こういった研究結果から、適量とされる飲酒量はアルコール20gに相当するとされています。アルコール20gに相当する種類を表に示しました。ご自分の量と比較してみてください。なおアルコール1gは7kcalに相当します、

これを見ると同じアルコール量20gでも、ビール、日本酒、ワインなどの醸造酒の方がエネルギーが多く、肥りやすいといえます。またアルコールには脂肪代謝を抑制する作用があり、体脂肪が減りにくくなります。飲酒による肥満はビール腹といわれるように腹回りに脂肪がつきます。メタボリック症候群の診断基準である腹囲は男性85cm以上、女性90cm以上です。メタボリック症候群に該当する人にとっては「酒は百害あって一利なし」なのかもしれません。

さて、アルコールは血管を収縮させて血圧を上げたり、逆に血管を拡張させて血圧を下げたりすることがあります。アセトアルデヒド脱水素酵素が不足している人では、アセトアルデヒドの処理が遅くなり、そのために血圧低下が続いたり脈拍数が増加したりします。一時的にはよいのですが長年飲み続けると高血圧症の原因になります。

アルコールにまつわる問題の多くは、アルコールの直接作用だけでなく共に食べる「酒の肴(おつまみ)」の過剰です。酒の肴によってエネルギー量、塩分量が増加し、血圧が高くなり、肥りやすくなります。その他、重症例ではアルコールの長期過剰摂取により、慢性肝炎から肝硬変・肝ガンにいたることがあります。ちなみに日本人で適量を超えた飲酒者は人口の4分の1にあたる3400万人で、エタノールに換算して約60g以上の多量飲酒者は約830万人と推計されています。適量の飲酒にすることで血管を健康にしたいものです。ご自分の飲酒量を見直し、早期に対処して生活習慣の改善をしましょう。

 【管理栄養士:藤原】