フリーランス医師

聞き慣れない言葉です。病院に所属せず、アルバイト的に仕事をする医師のことで、最近どんどん増えていると報道されています。

一例を挙げます。東北地方の国立病院に勤務していた50歳代の麻酔科医A氏はフリーランス医になって、年収が2倍強に増えました。勤務医として仕事をしていた時、時間外の勤務手当は月に25時間でカットされていた由です。通常月に100時間程度の時間外勤務があったため、75時間分はただ働きだったのです。このような状況に我慢がならず、勤務医をやめフリーの医師になったのですが、麻酔科医は全国的に不足しているため仕事先は十分あります。高額のアルバイト量をもらい、自分の好きなペースで仕事をしています。

私がフリーランス医師に憧れているのではありません。日本の勤務医達の置かれた状況を知っていただきたいのです。私の知人で、県内某病院に勤める外科医も、時間外労働は月に30時間しか認められません。彼の時間外労働も、月に100時間を超えています。病院側は業務を効率よく行えと言いますが、物理的に無理です。賃金体系が不当なだけでなく、私的な時間も少なくなっています。

医療費の高騰が叫ばれ、厚生労働省は医療費削減にやっきですが、時間外労働をカットされ、24時間365日拘束されながらも拘束料のない勤務医がたくさんいることは知られていません。医療費を有効に使い、勤務医の労働条件を改善させる努力が必要です。

【坂東】