高血圧の薬は一生もん!?

「高血圧の薬は飲み始めたら、一生のまないかんのやって…ほなけん、のむんはできるだけ遅うにしたいなあ〜」
こんな会話をよく小耳に挟みます。医師の中にもこのような発言をする方があり、少し当惑します。高血圧症の診断が正しくて、すでに高血圧による合併症が発生している場合には、薬を一生続けなければならないでしょう。しかし、診療を続ける中で、降圧薬を中止できた方や薬を減量できた方もあり、私は上のような会話には全面的には賛同できません。この発言のなかには二つの問題が潜んでいます。一緒に考えてみましょう。

「降圧薬はのみはじめたら中止することはできないか」ということですが、藍色の風、創刊号にも書きました。高血圧症と診断され、投薬をうけていた方が管理栄養士と食事の調整を続けることで体重が半年で14Kgも減少し、薬を減らすことができました。また同じく食事の調整で体重が減量し、降圧薬を中止できたかたもありました。

高血圧症に対して、薬を投与することしか眼中になかったことから、「高血圧の薬は一生もん」と言われ始めたものと思います。高血圧症に対して、単に薬を使用するだけなく、食事の調整による体重や塩分摂取量を減らすことで、血圧を下げることができます。いったん飲み始めた降圧薬を減量したり、途中で中止することができる場合もあります。あきらめないことです。

二番目の問題は高血圧症治療の目標を見失っていることです。高血圧治療でもっとも大事なことは高い血圧で脳、心臓、腎臓といった体内の大事な臓器を痛めつけないことです。血圧が高く、重要な臓器に負担をかけているのに、「のみはじめたら一生のなまいかんので、できるだけのみたくない」と我慢するのではなく、血圧が高いのなら薬の助けを借りて血圧を下げればよいのです。同時に食事や運動で体を整え、できるだけ少ない薬で、またできれば降圧薬は使用せずに治療できるようにすればよいのです。大事なことは高血圧による臓器障害を避けることです。高血圧かどうか微妙な状態にあるのであれば、まず食事や運動を調整することで自宅血圧の移り変わりを観察し、そのことだけでうまくいけば薬を使わず、うまくいかなければ薬を使えばよいのです。何度もいいますが、最も大事なことは高い血圧で体内の臓器を痛めつけないことなのです。薬は非常に効果的なのですが、それのみに頼るのではなく、食事と運動でうまく調整することが必要です。

ただ、完成した高血圧症で、心臓超音波検査でも心臓の筋肉が厚くなってしまっているような方は、その改善のために一生薬をのんだ方がよいでしょう。それぞれの方に応じて、高血圧症の治療内容は異なります。ご自分が高血圧診療の中でどのようなところに位置しているのか、確認されればよいと思います。わかりにくければ私にお尋ね下さい。

さて、高血圧の治療では皆様に自宅血圧の測定をお勧めしています。その値の変動を参考にして薬を調整しています。今年の冬はことのほか寒いですが、気温の低下から自宅血圧が高くなり、降圧剤を増量しなければならないことがあります。そんなとき、少し不満顔の方がおられます。できるだけ少ない薬で維持したいとのお考えは十分理解できます。しかし大事なことは高血圧症による臓器障害を避けることです。自宅血圧を135/85mmHg未満に下げて臓器障害を抑えることが大事です。洋服にも夏服や冬服があるように、車のタイヤも冬用のスタッドレスタイヤがあるように、降圧薬にも夏の量、冬の量があります。季節により降圧剤の量や種類を変更することが当たり前だとお考え下さい。高血圧治療の目標を見失わないよう、一緒に治療を続けましょう。

追記:坂東ハートクリニックでは食事の調整に加えて、歩行を中心とした運動を行うことで、血圧を効果的にコントロールできるよう準備しています。健康運動指導士でもある看護師の竹内が中心になって用意しています。ご期待下さい。         

【坂東】

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この機会に禁煙してみませんか? 

タバコ税が1本あたり1円増税になる予定です。(院長は1箱1,000円でもいいと言っています。)

タバコによる病気といえば肺がんを思い浮かべる方が多いのですが、狭心症や心筋梗塞などの循環器疾患もタバコによって危険性が増す病気です。タバコに含まれるニコチンは血圧上昇・血管のけいれん・心拍数増加・動脈硬化の促進など虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)の引き金となります。病気の原因になるものの中で、タバコは自分で防ぐことのできる最大のものといわれています。タバコを吸う人にくらべると吸わない人は12年も健康寿命が長く、病気や寝たきりの生活も5年短いという調査結果があります。

◆タバコがやめにくい理由って?
理由には2つの「依存」があります。それはニコチンという薬物によっておこる「ニコチン依存」と生活習慣や記憶などに基づく「心理的依存」です。禁煙が難しいといわれるのはこの「依存」に原因があり、このうちニコチン依存に対しては「ニコチンパッチ」という薬を使うことで治療が可能になりました。

◆『ニコチンパッチ』とは?
禁煙するとニコチン切れ症状(イライラ感など)が出現するため、『ニコチンパッチ』という貼り薬を皮膚に貼って、ニコチン切れを起こさせない量のニコチンを体に補充していきます。現在、日本では保険が認められないため1枚500円程度の費用がかかりますが、効果は大きいです。タバコには4,000種類の化学物質が含まれ、約200種類の有害物質が含まれています。ニコチンパッチに含まれているのはニコチンのみですのでタバコを吸うよりも安全です。

当クリニックの禁煙外来でも開院後、約50名の方が禁煙に成功しています。禁煙できた方からは『咳が減った・家がきれいになった・臭いと言われなくなった・家族が喜んでくれた・こんなに簡単にやめられるとは思わなかった・・・』等の声があり、私たちも嬉しく感じています。

禁煙をお手伝いできる方法はいろいろあります。自分にあった方法でチャレンジしてみませんか? 禁煙しようと思ったら、私たち看護師にお声をおかけ下さい。また、ご家族の中に喫煙者がおられれば「禁煙外来がありますよ」とひと声おかけ下さい。喫煙による病気が少しでも少なくなればと思います。

*当クリニックは敷地内禁煙となっています。ご協力よろしくお願いします <(_ _)> 

看護師【竹内・速水・立石・長尾】

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★救急蘇生法★

救急蘇生法をお教えします。
当クリニックに通っておられた男性が新幹線の中で突然死されました。その危険性があり、いろいろと治療を続けていただけにとても残念でした。奥様がそのとき傍におられ、車掌さんにも救助を頼みましたが不運なことに、周囲にはどなたも救急蘇生法を知った方がおられませんでした。

急な心停止を来した場合、救急隊が到着するまでの間をつなぐことが必要です。その具体的な方法をお教えします。講師は赤十字救急法指導員の資格をもつ当クリニック看護師の竹内が担当します。AED(自動体外除細動器)の扱い方も説明します。救急蘇生法を身につけたい方はお申し込み下さい。

※今回の講座は終了しております。次回講座日程につきましては、受付までお尋ねください。

【坂東】

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さしあげ物といただき物

年末年始のご挨拶に、旅の思い出に、お礼にと手土産を届けることがありますが、相手の体にあった品物をさしあげていますか?昨年のお歳暮も先方を気遣ったよい品を届けられたでしょうか。

例えば、高血圧症を心配している方に、塩分の多い漬け物や佃煮、干物などを届けたり、糖尿病の方にケーキやお菓子の詰め合わせ、アルコールをがまんしている方に銘酒を送ったりしていないでしょうか。また、二人暮らしの方に段ボール箱のみかんやりんご、大判焼き10個をさしあげたり…

ギフトカタログを見ても、どうも体にいい食品が少ないと感じます。多くのページを占めているのは糖分の多いお菓子やジュース類、また塩分の多い塩蔵品や加工品です。例えば、ある小豆菓子1箱に含まれている砂糖量は約500gです。ある漬け物1箱には約50gの塩分量があり賞味期間がたったの7日間です(これらの商品はよくある3000円程度のもの)。また、年末年始の時期には届く品物が1つとは限りません。あちらこちらから、似通った食品が届くと困ってしまいます。頂いて困る方はまだいいですが、これくらいいいだろうと気にせず食べてしまう人の体調が心配です。

皆さんが食べ物をさしあげる時には、先方の体調や人数、消費期限などを十分に考慮して、体に安心して食べられる商品を選ぶようお願いします。

食事相談の中で「いただき物が多く困ります。甘い物をがまんしているのにご近所からいただくんです。見ると食べたいし、捨てるのはもったいない。消費期限までにせっせと食べています。」たびたび聞くこの言葉にため息がでます。「無駄な食べ物にお金を出して、体をこわしている。そしてお金を出して治療しているようですね。」とおっしゃった患者さんもいました。「食べ物で体をこわしていく・・・」栄養士にとっては耳の痛い言葉です。

せっかくのお礼やおみやげの品です。相手に合ったものを心を込めて差し上げて下さい。

管理栄養士【東】

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季節を感じる食事(1・2月)

忙しい日々でしょうが、せめて行事の時は家族そろって食事を楽しみたいものです。家族団らんで健康な心と体を取り戻して下さい。また、伝統的な食事、食文化を次の時代にお伝え下さい。

◇1月1日 雑煮、おせち料理
おせち料理の食材のいわれ
◎黒豆・・・マメマメしく、働けますように ◎田作り・・・豊作祈願 ◎昆布・・・「喜ぶ」
◎里芋・・・こいもがたくさんつくことから子孫繁栄 ◎数の子・・・多産や子孫繁栄の願い
◎蓮根・・・見通しがよくなる ◎鯛・・・「めでたい」 ◎橙・・・「代々」続くように
◎エビ・・・えびのヒゲのように長く伸び、腰が曲がるまでの長寿を願って

◇1月7日 七草粥
春の七草を入れたお粥。春草の芽吹きのエネルギーを頂くことで無病息災を願います。
春の七草/せり・なずな・ごぎょう・はこべら・ほとけのざ・すずな(かぶ)・すずしろ(大根)

◇1月11日 鏡開き(ぜんざい・おしるこ)
鏡もちはその形から、円満と清浄潔白を表すそうです。
お供えした鏡もちを下げ、手や槌で小さく割ったことから「鏡開き」といわれます。その餅をおぜんざいやおしるこにして食べます。お供え物を頂くことによって家族の無病息災を祈願します。

◇1月15日 小豆粥
1月15日を「小正月」といいます。その昔この日に、農村で「かゆ占い」が行われていました。小豆粥の小豆の数で、その年の凶作・豊作を占ったそうです。また、小豆の赤は邪気を払うといわれています。

◇2月3日 節分(いり大豆・巻きずし・いわし)
立春の前日の頃で陰暦では立春が一年の境目とされ、新しい年を迎えるにあたって邪気を払い災厄を防ぐのが目的だったそうです。立春の前日の夕方に、イワシの頭をひいらぎの枝にさしたものを家の戸口に立て、イワシの悪臭とひいらぎのとげで鬼の侵入を防ぐといういい伝えです。また、いり豆をまいて「鬼」を打ちます。今では年齢の数だけ(年齢の数以上?)豆を食べたり、恵方(えほう:歳徳神のいる方向)に向かって巻きずしを食べる風習ができてきました。

◇2月14日 バレンタインデー(チョコレート)
男性に甘いチョコレートで愛のメッセージをお届けください。

管理栄養士【東】

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●インフルエンザにご注意を!!

寒くて空気の乾燥する冬期はインフルエンザウイルスが跋扈するシーズンです。インフルエンザウイルスはA型・B型・C型に分けられ、A型およびB型インフルエンザは感染すると症状が重く、全国的な流行を引き起こします。

●インフルエンザの症状 
インフルエンザは高い発熱に伴い、次のような症状がでます。
寒気、震え、全身のだるさ、咽喉の痛み、関節痛、筋肉痛など
これらの症状と発熱が急激に現れた場合はインフルエンザが疑われます。症状の発現が急激でなくても、周囲でインフルエンザが流行っている場合は可能性が高くなります。

●インフルエンザかどうかはすぐに判るの? 
当クリニックでは、インフルエンザウイルスに感染しているかを調べる迅速検査を取り入れております。
・鼻や咽喉の粘膜を綿棒で擦り検体を採取します。
・15〜20分程度で結果が出ます。
・インフルエンザなのか?また、A型あるいはB型の型別できます。

*検査結果を判断する上での注意点*
・この検査は「陽性」という結果が出たらインフルエンザの可能性が高いのですが、「陰性」でもインフルエンザではないと言い切れません。検査をするタイミングによっては結果が陽性に出ないことがあります。(感染初期には排出されるウイルス量が少ないためです。)
・咽喉の粘膜を擦って検査した場合は、検体採取が不確実なことがあり、鼻の粘膜を擦って検査した場合に比べて、検出率が低いと指摘されています。ただ、ワーファリンをおのみの方の場合には、鼻の中を強くこすると出血する場合があり、採取部位は院長の判断で行っています。

臨床検査技師【田中・宮原】

★院長からの追記:インフルエンザにかかったかなと思ったら…
大きな病気がなく、もともとお元気な方は暖かくして、自宅で安静にされ、様子をみてもよいです。心臓や肺に問題のある方はインフルエンザにかかることで、肺炎などを併発しやすくなり、注意が必要です。対処方法で迷われる方は、電話でご相談下さい。

【坂東】

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黒ウサギ再録

「藍色の風 第2号」の黒うさぎの記事を読まれた方で『黒うさぎってどこにおるんで??』とよく尋ねられます。実はその黒うさぎ・・・生きているうさぎではなく鉄で作られた置物なのです(^_^)まだ見られていない方はどこに隠れているか、探してみてください(^^)すごく可愛いです (*^_^*)

当院では四季折々の飾り物をしています。春夏秋冬、この季節は何をかざろうか?と考える時もありますが・・(苦笑)病院だけど病院という雰囲気がない。患者さんや付き添いの方々が、当院のちょっとした飾り物を見て楽しくなったり、気持ちが落ち着いたり、また季節感を感じていただけたらうれしく思います。

受け付け事務【美馬・木本・谷口】

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「体調が悪い時」と「余分の薬」

★体調を崩したときでも、次回の予約日まで待って我慢をされる方があります。また予約日でないのでと他の病院に相談に行かれる方があります。調子が悪いときに相談にのるのが主治医です。調子が悪いときこそ、私に相談してください。坂東ハートクリニックでは待ち時間をできるだけ少なくするために予約制を敷いています。しかし、調子がわるくなったときでも予約をしなければ受診できないということはありません。困ったなと思ったら電話で相談していただくか、「調子が悪いので今から行くよ。」とひとことお声をかけていただき、おいでください。救急用の携帯電話先は診察券に記載しています。

▲台風や地震などで皆様の受診が困難になることがありえます。また院長の事情で、院長が突然出勤不能になることもあり得ます。こういった突発的な状況に対処するために、1週間ほどは余分の薬をお持ち下さい。災害などがあっても、現在の日本では1週間ほど余分の薬をもっておられれば、持ちこたえることができるはずです。まだ余分の薬をお持ちで無い方は「急な事態に備えるため、余分の薬をもっておきたい。」と私にお伝え下さい。

【坂東】

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